ご 挨 拶
NPO法人高崎第九合唱団 副団長 根岸赴夫
創立50周年を迎えた高崎第九合唱団が、これまで歩んできた道のりは、決して平坦なものばかりではなかったと思います。しかし人類の平和を思う心、そして何より団員すべてが、大好きな第九を合唱できる喜びの力が、困難な道のりをも容易にさせたのかもしれません。これまで何十万・何百万の人々に歌われ続け、愛され続けた第九が、いかに人々を魅了するものであるか、また、人々を惹きつけ勇気を与えるものである事が、わたくしたちが歌い続ける原動力になってきたのだと思います。
今年1月に開催されたウクライナ国立歌劇場との第九合唱共演は、我が団はもちろん、高崎芸術劇場の歴史にも大きな足跡を残したと思います。祖国が戦火にある中で、故郷の家族はもとより、帰国後は自らの明日の命さえも補償されない極限の精神状態に置かれた歌劇団の方達と、共に音楽を作り出そうとした貴重な時間と喜び、そして別れの悲しみ。複雑な思いを抱きながらのステージでしたが、最後は満席の観客の拍手に見送られて、お互いが一つになれた至福のひと時を決して忘れることはないでしょう。
50年という長きにわたり、先達が歩み築き上げてきた歴史の上に今があるのと同様に、私たちの現在の活動が次の100周年に向けての礎になることを確信して、これまで以上に素晴らしい歌声を日本のみならず、世界中に届けてまいりたいと思います。
2023.4.